大野耐一の鬼十訓

改善の鬼と呼ばれる大野耐一さんから学んだことが書かれた本「トヨタ式 鬼十訓」を読んで、自分の習慣を反省するべきところが多々ありましたので、まとめていきます。

大野耐一の鬼十訓

  1. 君はコストだ。まずムダを削れ。それなくして能力は展開できない。
  2. 始めたらねばれ。できるまでやめるな。中途半端はクセになる。
  3. 困れ。困らせろ。安易を好む人と決定的な能力格差がつく。
  4. ライバルは君より優秀だ。すなわち君は「今」始めることでのみ勝てる。
  5. 仕事に痕跡を刻め。十割命じられても十一割めを自前の知恵でやれ。
  6. 平伏させず心服させろ。そのためにはだれよりも長い目で人を見ることだ。
  7. 「できる」とまず言え。そこに方法が見つかる。
  8. 失敗を力にしろ。真の自身そして運さえリカバリーから生まれる。
  9. 労働強化を避けよ。人間「ラクになるには」に一番頭が働く。
  10. お客の叱声は成功の呼び声だ。逃すな。いじけるな。考え抜け。

1.君はコストだ。まずムダを削れ。それなくして能力は展開できない。

「あとで手直し」はムダである

不良がでると、人間はとかく「あとで手直しすればいい」と、見えないところに隠しおくものである。仕事の流れをとめることをしない。だから、そのときは誰も困らない。
しかし、困らない代わりに、何の対策も取らないのだから、いずれ同じような不良が出る。これが大きなムダである。
さらに「手直し」という本来やらなくてもいいムダがでる。
だから大野さんは、不良は見えるところに出して「なぜ不良が出たのか」をみんなで考え、真因(表面に見える原因のさらに奥にある根本的な要因)をつかもうとする。
そして二度と同じ不良がでないように、みんなで改善を重ねることが大切だと考えている。
また、不良をゼロにするために以下の2つのことを徹底した。

  1. 視える化
  2. 「なぜ」を五回繰り返す

この1.において不良の視える化で、「失敗を共有財産とする」「失敗をムダ取りのヒントにする」ことを意識づけようとしていた。

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仕事において、問題だと感じたことはすべて表に出さないと、自分以外の誰かが同じことで困る可能性が大いにある。すなわちムダが発生する。
その都度何かにメモしておき、定期的な会議で意見する必要性を改めて認識した。

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原価が見えると減価ができる

「視える化」で人は自然と問題に気づき、「原価の視える化」をすれば原価意識を持って仕事に臨むようになる。そこから改善の知恵が出てくる。

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自分がやっている業務単位での時間を測定し、その時間でいくらの人件費がかかり、全体の中でどれだけの負担になっているかを計算してみる。
すると、自分が効率悪く業務をしてしまっている時間が、どれだけのコストになっているかを認識する。時間意識を持って仕事に取り組みたい。

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モノを作るのではなく、「必要なモノをつくる」

2.始めたらねばれ。できるまでやめるな。中途半端はクセになる。

「なぜ」を五回繰り返す

問題の改善とは、問題を解決することではなく、問題の真因を調べ、二度と同じ問題が起きないように仕組みをつくることである。

目標を達成したら目標を変えなさい

目標は、これでよいというものはない。あくまでも人間の能力に挑戦するのが目標であり、今の目標を達成したら目標を変えなさい。

3.困れ。困らせろ。安易を好む人と決定的な能力格差がつく。

大増産を小増員でやれ。成長の秘密はそこにしかない。

「5000台つくるのに、80人必要」の場合、「10000台つくるために、160人必要である」という単なる「算術の経営」ではダメである。
二倍に増やしたいときも、知恵を使い創意工夫をこらし、改善を重ねてそれ以下でやれるようにする「忍術の経営」でなければならない。

仕事は「可能か」で決めるな。つねに「必要か」で決めよ。

「できない」と決めてかかると出来ることまで出来なくなるが、「できる」と思ってやると案外できるものだ。
トヨタ式の基本は「まずやってみよ」である。
仕事は思い切り遠くにボールを投げる人と、キャッチしようと知恵を出す人が必要である。

答えを教えるな。考えさせる工夫をしろ。

人の知恵を信じ、困ったときにはいつでも手を差し伸べる準備があってこそだ。「期待に応えよう」とがんばらせるヒューマニティが大切である。

厳しすぎる注文が成長をもたらす。

厳しい目標に対して必死に知恵を出すことで「考える力」はつく。ときに「より少ない予算」「より少ない人数」「より短い時間」をあえてみずからに課してみるといい。
ものの見方が変わり、考える力、改善する力が確実に上昇する。

4.ライバルは君より優秀だ。すなわち君は「今」始めることでのみ勝てる。

何でもその場でやれ。なんでもすぐ片付く。
明日でも対策は見込めるが。今日なら良策が仕込める。
積み上げが仕事を鍛え上げる。

「なぜこんな当たり前のことができないんだ」と怒るのではなく、「なぜできないのか」「どうすればできるのか」を自らの課題として考える。
当たり前を徹底することは難しい。自分が仕事をしていて、あるいは部下に仕事をさせていて、当たり前の簡単なことがうまくいかない時、
「当たり前」をどう自分が捉えているかを省みるチャンスである。

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自分にとっての「当たり前」は相手にとっては、そうではないことが多々ある。自分の中での定義をきちんと明確にしておくことで、
何かを教えるときにも教わるときにも精度があがる。

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5.仕事に痕跡を刻め。十割命じられても十一割めを自前の知恵でやれ。

「できた」で止まるな。「もっとできる」に進め。

トヨタ式では「人間の知恵の数だけ競争に勝てる」と言う。上司に言われたまま、本で読んだまま、マニュアルに書いてあるままの仕事ではいけない。
知恵を使って、もっとうまくやることがトヨタ式である。

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まずは、マニュアル通りに「できる」ことが前提。次に、「もっとできる」に進む。この順序は間違えないようにする。
現状がわかっていないのに、改善など出来るはずがない。

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言葉通りにやらず、言葉に知恵を足せ。
教えるな。気づかせろ。

大切なのは作業者の知恵や提案を引き出すことが改善の指導だということを忘れてはならない。
指導というより「知恵を出すお手伝い」と考えたほうが良い。
部下には自分の頭で考え、自分で試行錯誤しながら知恵を出すことを覚えてもらう。時間が掛かっても、一つ一つステップを踏みながら考えさせる。
上司がすべてをお膳立てしていては、部下は考えることを放棄し、言われるがままに仕事をするだけになる。
「考える部下」がいない会社に競争力は育たない。

6.平伏させず心服させろ。そのためにはだれよりも長い目で人を見ることだ。

手をかけ時間をかける。そうしてこそ人から声がかかり始める。

人は納得した仕事には全力で取り組むが、納得のいかない仕事には、結局は中途半端な気持ちでしか臨めないものだ。
「なぜ必要なのか、なにをしてもらいたいのか」を丁寧に説明し、できうるかぎり納得を得ることが「人を動かす」「人を育てる」要諦である。

まずやらせるな。まずやってみせろ。

なによりも事実で説得し、理解を得ることが大事。なにごとも、頭で理解しただけではダメで、実際にやってみないと本質がわからない。

汗をかかせるな。知恵に欠けてくる。

上司は部下が考えることを助け、自分の頭で考えることの出来る部下を育てる責任を負う。
考えることを部下に丸投げし、答えも持たず、何のアドバイスもできないようなら、その人は上司である資格などない。

7.「できる」とまず言え。そこに方法が見つかる。

「できる」を信じる。「できない」は疑う。
知恵は平等だ。知恵の引き出し方で差がつく。

「知恵」は知識とは違う。知識は、学校や本など、お金を払って買うことができる。それに対して、知恵は経験で買う。
現場の仕事を通して、知恵を引っ張り出す経験を重ねることで身についてくるものだ。
つまり知恵とは実践と分かちがたく結びついている。
トヨタ式では「仕事に行く」ではなく、「知恵を出しに行く」と考える。自分の知恵の実践で、仕事は各段にやりがいのあるものへと変わる。

8.失敗を力にしろ。真の自身そして運さえリカバリーから生まれる。

成果をあげるにはネをあげないことだ。

危機イコール「知恵を出すチャンス」。問題や難関をチャンスと捉えることが大切だ。
もちろん突破するには大変な苦労をしいられるわけだが、「なんとかしなくては」と考えることで、思いもかけない知恵や力がでてくるものだ。

「失敗だ」とあきらめるな。「失敗にしたくない」と発想せよ。
支持されたいなら、指示を減らすんだ。

失敗に対して、会社や上司が処理を支持するのは、早くてラクでいいかもしれない。指示する側も、指示される側も安心だ。
しかい、それでは人は育たない。失敗のときこそ、忍耐と時間が必要になる。

9.労働強化を避けよ。人間「ラクになるには」に一番頭が働く。

「平均的に」はラクではない。「最速で」がラクである。

改善には順番がある。

  1. 作業改善
  2. 設備改善
  3. 工程改善

トヨタ式では、まず作業改善が先にくる。最初から道具をつくるのではなく、仕事のやり方を変えてみる。
この作業改善の段階では、労働強化にならないよう細心の注意を払う必要がある。
「なぜできないのかという原因をしっかりつかめ」これが労働強化を避ける基本である。

目標値が高ければ、出発点は低くていい。

「標準のないところに改善はない」
作業のやり方が決まっておらず、人によってやり方や教え方が違っている現場では、作業のやり方を変えても仕方がない。
まず標準を決めること、標準作業をつくることが重要なのだ。その標準作業で大切なのは次の3つ。

  1. 現場の実態をきちんと反映していること。
  2. 現場で使えるものであること。
  3. 改善の役に立つものであること。

また、この標準は未来永劫に改善されていくべきものである。

10.お客の叱声は成功の呼び声だ。逃すな。いじけるな。考え抜け。

相手を変えたいなら、自分が変わるんだ。
むずかしいことは優しく言え。やさしいことは繰り返し言え。
「できる」信念も、「できない」信念も強さは同じだ。

「仕組みを考えることぐらいは誰でもできるが、問題はそれをどこまで実行できるかだ。」
仕事は頭で考えるだけでは意味が無い。信念を持ってやり抜くことができるかどうかが価値を決める。

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トヨタ式 鬼十訓 私が大野耐一から学んだこと

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